国際刑事警察機構(インターポール)は3月13日、世界72の国と地域の法執行機関が参加した7か月間にわたる国際共同作戦「シナジアIII(Operation Synergia III)」の成果を発表した。この作戦では、フィッシング詐欺、マルウェア配布、ランサムウェア攻撃などに悪用されていた4万5,000件以上の不正IPアドレスおよびサーバーが遮断・摘発された。
同作戦は2025年7月18日から2026年1月31日まで実施され、94人の逮捕者と110人の追加被疑者が特定された。各国当局は計212台の電子機器やサーバーを押収。民間サイバーセキュリティ企業のGroup-IB、トレンドマイクロ(Trend Micro)、S2Wが技術支援を行い、不正インフラの特定や犯罪ネットワークの追跡に貢献した。
3大陸での主な摘発事例
作戦では、地域ごとに多様な手口が浮き彫りとなった。
マカオ(中国)では、銀行、行政サービス、決済プラットフォーム、オンラインカジノなどを装った3万3,000件以上のフィッシング・詐欺サイトが摘発された。これらは被害者に個人情報や資金を送金させる手口で運営されていたという。
バングラデシュでは、警察が40人を逮捕し、ローン詐欺、就職詐欺、個人情報の不正取得、クレジットカード詐欺に関連する134台の電子機器を押収した。
トーゴでは、住宅街を拠点に活動していた詐欺グループのメンバー10人が逮捕された。グループ内では、それぞれがSNSアカウントのハッキングや恋愛詐欺、性的恐喝(セクストーション)といった役割を分担していた。
国際協力の広がり
インターポールのサイバー犯罪局長を務めるニール・ジェットン氏は声明で次のように述べた。
「2026年のサイバー犯罪は過去に例を見ないほど巧妙で破壊的だ。しかし『シナジアIII』は、国際的な協力がどれほどの力を発揮できるかを示す明確な証左だ」。
2023年に始まったこの国際作戦は今回で3回目となる。規模は回を重ねるごとに拡大しており、初回(2023年後半)は52か国が参加し1,300件のIPアドレスを無効化、2回目(2024年)には95か国に広がり41人の逮捕者が出た。今回の第三弾は、それらを大きく上回る成果を上げた形だ。
トレンドマイクロ傘下のサイバー犯罪調査部門「TrendAI」のロバート・マカードル部長は次のように指摘する。
「悪質サーバーやフィッシングツールの背後には、より広範な犯罪エコシステムが存在している。逮捕に結びつけるためには、その全体像を把握し、つながりを明らかにしていくことが不可欠だ」。
